心に残る今日のめし屋

【イタリアン】AW kitchen(青山)-②

→昨日の続き。
 
 
久々に現われた強敵『AWキッチン』。
私の全霊を賭けた戦いが今、始ます・・・始まる。
  
 
時は刻まれ、徐々に驚愕の事実が明らかになってきた。
まず、エビスビールはおいてなかったこと。
そして、料理はコースだったことだ。
  
 
 

 私 : 「キミ、本日のお奨めは何かね?」
 店員:「は、あの、今日はコースと承っておりますが・・・」
 私 : 「ほう!コースかね。 あれには私も目が無くてね」
 店員:「・・・恐れ入ります」

  

そんな上流社交界のエスプリを楽しんでいると、
早速、黒褐色のパンが眼前に並んだ。

最前の失態を拭うべく、今度は私が機先を制す、
    

 
 私  :「おやおや、わたし大好きなんですよ、黒糖パ・・・」

 店員:「こちら、イカ墨パンでございます」
 

 ・・・危ないっ!

インサイドギリギリをえぐる剛球に私は戦慄した。
店員のカウンター攻撃は強烈。
かくなるうえは、反撃は危険である。

 もう何も言うまい。
 このまま静かに食事を続けよう。
 「私は貝になりたい」
 

そう誓って次々に出される料理を黙って口にすることにした。

食事も終盤に差し掛かったところ、
私の膀胱機関から定時連絡が入ったため、中座して雪隠に向かう。

手水場から出たところで店員から声を掛けられた。
 
 
 店員:「本日のお味はいかがでしたか」
 
 
私はここが一ノ谷の合戦よと切り込む、
 
 

 私:「美味しかったですが、“東京味”ですな」
 店員:「ギクッ!」

 

○○産で採れた××の△△だけを使用したコーンを、
××産の限られた地域でしか収穫されない朝取りレタスで包んで、
凸凹の契約農家から直接仕入れたキュウリを添えて・・・って、

そりゃ確かに美味いけど、生理的に何かが違うだろ?
産地でも滅多に食べないような食材を並べることが幸福だろうか?
全曲が傑作曲のアルバムは、たいてい駄作アルバムだ。
野菜そのものの味(?)とやらの融合で、
かえって不自然な味が出来上がる。
金を出せば何でも手に入ってしまう東京で生まれる、
どこの産地でも食べられない人工的な東京味。

と、吼えてやろうと構えた私の口から、
自分でも信じられない言葉が独りでに発せられた。 

 

 私:「もう、本当に美味しくて、感激ッス♪」
 

帰宅途中で不覚にも、泣いた。
半分は友人夫妻の幸せな姿を見れた嬉し涙。
もう半分は、強者に屈した自分への悔し涙。
頬を伝う涙は、
宮古島周辺の海底でしか採れない天然塩の味がした。

  ■AWキッチン
   東京都港区南青山3-18-5 NOB南青山1F

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【イタリアン】AW kitchen(青山)-①


久々のブログ更新となってしまったので、
この空白期にあったことも徐々に綴ろうと思う。

今でこそ広告という荒海の世界に自分の船を持ち、
来る波、来る波を「それは、できません」の一言で乗り越え続けている私だが、
まだ駆け出しの一兵卒時代もあった。

当時、
同じ釜の飯を食った仲で、D蔵という同志がいる。
顔以外も無茶苦茶な奴だが、私の心は広い。

D蔵が別れた奥様と再婚したと言い出したので
ささやかなパーティーを催すことにした。
人生回り道の聖典のような友人ではあるが、
お祝い事は皆でパーッとやりたい。

むかった先は『AWキッチン』。
表参道の路地裏に佇むパスタハウス。

店内に入るや花の香りでお出迎え、
凝った調度品と間接照明に照らされるキャリア風OL客。

“本日のお奨め イカ焼き”のような張り紙すら無い。
 

 
 ・・・つ、つまり、店内を見回さずにメニューのみで注文せよと?
 
 
完全アウェーのピッチに立たされた孤高のファンタジスタ(=私)に、
店員はメニューを開きながら先制パンチを放った。

 
 店員:「お飲み物は何になさいますか?」
  

 私:「あ、ビールで」
 

 
不覚にも反射的に答えてしまった私。
店員は軽い失笑を漏らす。

あわてて店員が開いて寄越したメニューに目を落とすと、
そこには高そうなワイン銘柄のリストがっ。

しかし、私は落ち着いてリカバリーの一言を放った。

 
 
 私:「あ、あの、ビールと言っても、エビスですから・・・」

 

戦場の風が敵側に有利に吹くのを感じた。

→後半に続く。
 

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【スペイン】バルデゲー(豊洲)

最近は、雑誌等でスペイン・バルが注目されているらしい。

全く世間の方々の落ち着きの無さには困ったもである。
やれアジアンだ、プチフレンチだの騒げば今度はスペイン・バル。
日本人には腰を据えて食文化を楽しむ余裕が足りないのではないか。
私も同じ日本人ではあるが、
外食産業の浮ついた流行廃り、
それに踊らされる生活者に少し気恥ずかさすら覚えるのである。

さて、少々前置きが長くなって恐縮だ。
本日、私が向かった先は、スペイン・バール。

スペインと言えばガウディ
日本でも有名な建築家だから、
皆様も“サクラダ・ファミリア”なんかは聞いた事あるだろう。

そう。
「ケンドーナガサキ」ことプロレスラー桜田一男の自宅である。

彼が国際プロレスで「ランボー・サクラダ」を名乗っていた頃、
その熱狂的ファイトに夜な夜なうなされていたのが、ガウディ。
ガウディは、
 「セメントなら、ケンドー・ナガサキが最強だ」と方向転換し、
コンクリートを一切使用しないで平屋を設計をした。
“サクラダ・ファミリア”である。

Barudege_2そんな偉大なガウディに真っ向から勝負を挑んだのが、今回紹介する豊洲のスペインバル、・・・否、バール『バルデゲー』なのだ。

 

 
 
 

入店するや否や、
懐かしきバルセロナの調度品の数々が出迎える。
 

 「ほう、これはカタルーニャ地方の露店でよく売られている・・・」

  
私の大きな独り言が聞こえたのか、
フロアの女性店員がぱっとフェイスを輝かせた。
 

 「お客様は、スペインに行かれたことが?」 
 

私にスペインの事を聞くなんて恐れ知らずがいたものだ。
ただ、この店員と私は初対面であり、
こちらをあまり知らないのも無理からぬことだろう。

 

 

 

  

  「無いですな。」

ここは私も男らしく断言させてもらった。
女性店員は目を白黒させていたが、
別に彼女を騙したわけではない。
私は本当にスペインに行ったことは無いのだ。
当方をなめてもらっては困る。

こうなると先ほどの友好的な雰囲気はどこへやら、
お店には険悪な空気が流れてしまった。
まあ、グルメ格闘家を標榜する私の土俵と言うべきか。

ここにスペイン人が一人もいない、
スペインvs日本の戦いが切って落とされたのである。

先攻はスペインだった。
店員がスペイン料理といって“パエリャ”とやらを持ってきた。
恐らく、スペイン流の仕掛けなのだろう、
先ほどの仕返しとばかりに
お米が鉄鍋にくっついたままで、オコゲばかりなのだ。

しかし、
私もかつては日本男児の中で
4,000万番目くらいに強いのでは、と言われた男。

店内の動向を注意ぶかく見つつ、

(日本では、お米のオコゲは食べませんよ。)

と、備え付けのアンケートに一筆したため、
颯爽とお店を後にした。
時間切れのノーコンテスト試合である。しょっぱい。

スペイン・バール『バルテゲー』。
夜景の大変キレイなお店らしいが、
私が出向いたのは昼飯である。

  ■バルデゲー
    東京都江東区豊洲2-4-9
   03-6910-1280   

 

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【和食】松よし(千葉県御宿)

 本日は千葉県御宿の別宅でサーフィン。
 波の合間をぬって華麗な“受身”の練習に時間を費やした。

  ランチは御宿「うまいもの屋 松よし」。
 店名にはわざわざ“御宿駅前店”との補筆もされているが、
 他に支店は無いので安心して欲しい。

Photo_2 

 

友人2名はメニューも見ずに地元名物「サザエカレー」を注文する。
 素人丸出しである。
 サザエカレーは牛肉の代用に、安いサザエを使った名残なのだ。
 真のグルメン(グルメの複数形)はカレーで冒険をしてはいけない。
 冒険してもいい頃・・・申し訳ない、急に思い出してしまった。

 一方、私はメニューを超速読した。
 
 フフフ、ありますよ、お宝が。

 私のメニュー扱いを察知したのか店主も厨房から顔を覗かせる。
 「お前は下がって良い」とフロアの若娘にも目配せをしたようだ。
 タダならぬ雰囲気に静まりかえる店内。

 私はおもむろに、厨房の明日を切り開くような声で、
 オーダーにビブラートを聞かせた。

 

 

 

 「ヘイ、マスター! 僕は“まかない丼”ね」
 
 
 
 店主は破顔一笑だ。
 「ま、まかない丼一丁」、オーダーを繰り返す声は涙声。
 戦いは終わり、平和が勃発したのである。
 
 ・・・まかない丼。
 若葉マークの君のためにレシピを詳細に記してしておこう。
  
  ・色んなお刺身のぶつ切りに、
  ・醤油ではない美味しいタレをかけ、
  ・最後に山芋とろろをかけたご飯ものである。

  
 味をプロの表現で描写するなら、
 
  「海鮮丼とはちょっと違う感じ」

 とすれば想像できるだろうか。
    
 ちなみに、オーダーは他にもした。
  (以下、全部ランチにて)

  ・ビール3杯
  ・ビンビール1本
  ・サザエカレー 2杯
  ・まかない丼 1杯
  ・あわびの酒盗
  ・さしみ3人前
  ・伊勢えびクリームコロッケ

  総合計 9,000円

 千葉のリゾート“御宿”のうまいもの屋「松よし」。
 お店のコピーは、「御宿発。渋谷系居酒屋」。
 渋谷系居酒屋・・・?!
 初耳だが、いったいどういう系統なのだろうか。
 なぞは深まるがお奨めのお店だ。

   ■うまいもの屋 松よし
     千葉県夷隅郡御宿町須賀字海老塚476-14
     0470-68-4329   

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【フレンチ】ラ・ブリーズ・ドゥ・ヴァレ(新富町)

 Photo_2
何を隠そう私にとって、
おフランスは馴染み深い。

祖母の家にはいつもブルボンのお菓子があったし、今でも革命軍と言えば、長州力の昭和維新軍よりフランス革命軍だ。

そんな私は今日のランチに中央区新富町のフレンチ、「ラ・ブリーズ・ドゥ・ヴァレ」を選んだ。

お店のドアを力任せに開けると、モデル級スタイルの美人マダムがスーツ姿でお出迎え。

 ・・・むっ、できる。


 私くらいのグルメになるとギャルソンと対峙しただけで、
 お店の格を知れる。
 簡単な見分けるコツを特別にお教えしよう“美人スタッフの居るお店は美味い”、だ。

 さて、二階に案内されると、
 食事のオーダーは男性ギャルソンが仕切る。
 こちらも接客に一家言持っていそうな物腰の柔らかさ。
 メイン料理とパン、サラダ、コーヒー、お菓子が付くと言う。
 私はウサギ肉のプラティニ仕込みジダン風ソースを注文した。
 
 
 ・・・待つこと7分。
 
 
 先ほどの男性ギャルソンが笑顔で私に歩みよる。
 実に素早い配膳、合格だ。
 私もナイフとフォークを狂ったようにカンカン鳴らす手を休め、
 ナフキンをひざにかけた。
 
 
 「お客様、申し訳ありません。ご注文はウサギ肉で宜しかったでしょうか」
 
 
 へ?
 このタイミング・・・並みのフランス素人なら驚くだろう。
 しかし、私は感じ取った。
  「こいつ、私の通り名(グルメ界のミスターレディー)を聞きつけて、試してやがる・・・」
 私は涼しい顔で「ウィ」と返すことができた。あぶない、あぶない。

 その後、食事はサラダ、パンと続き、
 いよいよメイン料理を手にした男性ギャルソンがテーブルに。


 「ムッシュー、申し訳ありません。私のミスで、ウサギ肉のジダン風をアンリ風と間違えて伝えてしまいました。」


 ぬしは切腹せぃ!・・・と言いかけたが、
 お詫びにドリンク代は無料にするとのこと。
 私が無料とか割引という言葉に目がないことを知っての狼藉である。

 

 許した。


 さらに、ウサギ肉料理の解説時には、

 「ウサギの背中のお肉を、こちらで軽く『整形』をしまして・・・」

 と、次なるセメントを仕掛ける男性ギャルソン!
 (ウサギ肉を白ソーセージのように『整形』しつつ、食感はササミ肉という不思議味)
 
 私も負けじと、
 小学生時のウサギ当番ではウサギ達に名前を付け大変可愛がっていましてね・・・と、思い出話を披露。
 ここまでの勝負はイーブンか。

 「今日は大変申し訳ありませんでした」との言葉とともに、
 会計は5,000円とサービス料10%で合計5500円。
 君は随分とお茶目なサービスだったよと両雄の健闘を称えつつ、
 私は6,000円をキャッシュで手渡した。

 レシートを受け取り、車に乗り込んでから数分後、
 私は男性ギャルソンの仕掛けた最後のケーフェイに気がついたのである。
 
 
 
 


 お、おつりの500円をもらって無ぇ!!!!




 手練の技である。

   1.オーダーを忘れる。
   2.オーダーを間違える。
   3.お釣りは死んでも渡さない。


 私の気持ちをラップで表現してみた、

  フレンチ史に残る三点攻撃に完敗♪
   完璧な接客態度からなされる波状アタックに乾杯♪


 都内のフレンチを食べ飽きた趣味人は、是非足を運んで欲しい。
 古都パリの幻惑を新富町で味わえることだろう。


 ところで、
 最初にいた美人の女性スタッフはいったいどこにいったの?

  ■La briese de valle(ラ・ブリーズ・ドゥ・ヴァレ)
    東京都中央区新富町2-4-3
    
http://shinsei-sha.com/labrise/index.html


 

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